聖地巡礼

*後日談


2003年5月3日、ついにワタクシは菱田春草さま生誕の地・飯田を訪ねました。

おりしもこの時、飯田市は春草さまの代表作「菊慈童」購入を記念しての、いわば春草祭りが催されていたのです。
しかも同時期に名古屋でも菱田春草展が開催されており、もう飯田を訪ねるのは今しかないという、絶好の機会だったのであります。

Kちゃんご夫婦の暖か〜いご好意で、実家の最寄駅から車で飯田へと向かったのでありました。

大変に立派な飯田市美術博物館で菱田春草展は開催されておりました。

巨費を投じて購入した「菊慈童」をはじめ、同美術館が所蔵する春草さま作品の数々を、なんと太っ腹なことに無料!で大公開中。

そして館内では、こんなん絶対飯田でしか見られ〜〜ん!とも言える「菱田春草物語」なる紙芝居を拝見!ええ年こいて最前列に陣取ってかぶりつき(笑)

展覧会を見た後は、飯田の町を散策がてら他の目的地を訪ね歩きました。

こちらは春草さまが通った、飯田学校(現・追手町小学校)
もちろん建物はもう明治のものではないでしょうが、でもアールデコ調というのでしょうね。すごくレトロ感ただようオサレな建物でした。
写真ではわかりにくいですが、入り口上部の細かなガラスとかも凝ってありました。
内部も、廊下側の扉や窓はすべて木枠で、そりゃもう素敵。
こんな小学校、万一建て替え騒動なんか起こったら、きっとTV沙汰になりますわ!
でも飯田は昔からの教育都市(都市か!?)そんなバカな騒動は起きないでしょう。


そして次なる目的地。春草さまが眠る柏心寺にやってまいりました。
正面から左手に「菱田春草菩提寺」の碑が…。

東京・代々木で亡くなった春草さまなので、てっきり東中野の墓地が本物(?)だと思っていたら、こちらが本元で、東京の方が分骨だそうです。


山門をくぐり、ご本尊さまに手を合わせた後、墓域へと…
ちゃんと案内看板も出ておりました。
「画聖」です。
そういえば秀策のお墓には「碁聖」と記してあったなぁ。


そしてこちらが春草さまのお墓。
私より前にどなたかがお参りをなさってて、とても立派な菊と、名前はわからないけど日本画ちっくなお花がお供えしてありました。


墓石には「春草菱田三男治墓」と刻まれています。

私の持って行ったお花も一緒にお供え。
分かりにくいけどもちろん百合です。
良い加減で咲いている百合がなくて、半開き状態のものばかりだったので、トルコ桔梗を一緒にしました。
なんでいっつも百合って咲いてないねん…

やはりこちらでも、「あ〜んなことや、こ〜んなことを妄想して申し訳ありません」とお詫びを。

きっと許してくださったと思うので(そうなのか!?)次の同人誌も頑張るぞー!


そしてまた歩く事延々…

生誕の地へとやって参りました。
もう生家などは残ってはいませんが、ここで春草さまがお生まれになったのね。

春草少年が絣の着物に袴はいて、風呂敷包みかかえ登校してたんだわぁ。
ちなみに、ある学年の時の春草さまの成績は7番でした。
これはすごいことなのか、普通のことなのかビミョ〜ですが(笑)とりあえず成績は良かったのです。


この巡礼散策。
決して歩くのに無理のある範囲ではないのですが、しかしこの日は暑かった…
ヘバりそうでした。途中で入れるような喫茶店はなく(あるにはあっても、なんか地元のおっさんしか入れない風情が漂うようなとこしか…)
スタバなど夢のまた夢…

ひとまわりして、また出発地点である美術館にもどって巡礼の旅は終了しました。


その美術館前に立つこの碑が「菱田春草誕生之地」

この文字こそ、ラブラブ大観が書いた文字です。
原画(?)は美術館内に展示されていました。


作品の無料公開を始め、市立図書館では春草さまに関する資料も一挙展示公開。町はまさに菱田春草フェア。
私がものすご〜〜く魅かれたのは、春草さまを題材にしたお芝居の台本でした。長かったので(しかも手書きだし)全部は読めなかったのですが、病気療養中の春草さまと奥さん、そして脇山なる人物の3人芝居で、春草さまの知的でしっとりした風情が感じ取れる脚本でした。ちょっとパクりたい箇所もちらほら…。そのうちこっそりパクっちゃいます。

で、この展示コーナーに春草さまの似顔絵が飾ってあったのですが、これがまた出来がよい!!図書館の職員か、はたまた知り合いの人なのか、描きなれたタッチで、3等身春草さまが描かれていました。よく似てる〜!雰囲気出てる〜!あの絵の写真撮ってくればよかったわ〜〜!

こちらは巡礼中に見つけた菊慈童ラベルのお酒♪
また飲めないのに買ってしまった…。しかしここでなくてはこの酒は買えん!と思ったら、もういてもたってもいられません。迷わず店内に飛び込んでGET!
ちなみにこちらは広島の酔心から発売されている、春草さまラベルのお酒。大観ラベルと対になってます。なんて粋なんでしょう〜
漫画家とかでもよくあることですが、「仲良しは絵が似る」をまさに実践してる二人ですな。どっとがどっちか分からないくらいよく似た絵を描いてる時期があったんですね〜。
左が春草さまの「風」、右が大観の「雨」です。



そんな町をあげての春草フェアだったのですが、私にはひとつ不満が…!
「春草博士になろうクイズ」っていうのがあって、正解者には協賛店の商品券などが当たるようでしたが、この問題ってのが妙にコア〜な問題で、展示作品の注釈とかをしっかり読まないと分からないものとか、そんな感じでした。
そうなると、やはり問題を解くために展示室で暴挙に及ぶ輩が出てくるわけです。
絵など見ず、展示室のガラスに問題用紙を押し付け、作品の注釈を読みながら解答欄に記入しているオバハンが私たちの前に!
そういう人たちが多かったのでしょう。私語のボリュームはMAX。展示室内はたまらん騒々しい。
とてもゆっくりと春草世界に浸れる雰囲気ではありませんでした…(涙)

飯田市が生んだ芸術家の作品を、一人でも多くの飯田市民に見てもらいたいという主催者側の思いは、はたしてどれだけの人に通じていたのかと思うと、あたしゃ悲しいっす…。

もちろん、真の春草ファンの方もたくさんいらしてました。だからこそ一部の人のマナー違反な行動には落胆です。


気を取り直して出かけた翌日の、愛知県美術館「菱田春草展」
こちらは素晴らしかったです。展示作品はもちろん、客層もよろしい。話す時も皆さん小さな声でお話しになるので、館内はいたって静か。
やはり春草さまが好きで、絵を見たくて集まった人達なので、おのずとそうなるのですね。
二巡目には近くではなく遠目で作品を鑑賞したのですが、それでもよく見えてよかったです。
六曲一双の屏風が、2組並んでるのを一望できたのは感動でした。


春草さま三昧を堪能できたこの二日間。
協力してくれたKちゃん、ご主人。ホントにありがとう〜〜〜♪

そして飯田の町は、古い建物がたくさん残る、とても綺麗な町でした。


◆後日談◆

上記の春草さまのお芝居の台本。
見事GETすることができました〜〜!
飯田図書館の方は、なんて親切なんでしょう。
実は美術館の方に、展覧会の感想やうるさいオバハンへの苦情とともに、図書館でのあの台本は入手可能かどうか問い合わせのメールをしたところ、図書館の方からお返事をいただき、コピーしていただきました。
あああ、わざわざご親切に…
台本は、ほんとにしっとりした風情で穏やかに過ぎていく春草さまの一日が描かれていました。私の思い描く春草さま像とピッタシ同じ感性で書かれた台本、という印象でした。

でね〜、でね〜。
世の中せまいわ。ナントあの春草さまの似顔絵を書いた図書館職員の方が、ホント偶然、このページをご覧になったのです。
図書館とは、台本のコピーについて幾度かやり取りをしたので、その方も私の存在はご存知だったのです。(だって私、あの絵を持って帰りたかったとか、職員の人が描いたのですか?とか結構しつこく書いてメールしてたので)
で、たまたま「春草」で検索してこのページへいらっしゃって、巡礼レポを読んだら「…あれ?もしかしてこの人?」と、私にメールをくださったのです。

私もビックリしましたよ〜。まさかあの似顔絵の方からメールがいただけるなんて。しかも偶然ここにいらっしゃったなんて。
そしてあの春草さま似顔絵の写真まで送ってくださいました。




う〜ん、緑の着物がお・に・あ・い♪
腕組みポーズもいかにも春草さまっぽい。


ああ、やっぱり行ってよかった聖地巡礼♪しあわせ〜〜(^▽^)


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